色気の声だって、だすわなぁ!
あっちでも逃げて、こっちでも逃げて
今日は散々んだ。
「ごめん、怒った」
はあ、なんで、お前に怒ることを。
変なことでクダをこねて、ごめん、もう言わんきに。
ちゃんと分かっちょるし。
手伝もするし。
頼む、どれでこらえて!
嫌なことをかんぐられて、逃げ道なく。
そろそろ、別のところを捜さないとなぁ。(笑い)
人の家をまわっている、フウライボ~さ!
電話の向こう側で、大きな声では聞こえないが。
小ちゃくては聞こえないか?
あのさ、一人暮らししてたよな。
今日、いまからお前のところ泊れない。
どうかしたんですか?
聞いてくれる!
俺、いろいろけなされて、ここん家も逃げたくなってきた。
ここの奥さんは、気はいいんだが。
「やっちゃんが、焼きもちやきで。」
俺のいないとき、グチをたらたらと言うんだ。
俺が戻ってきたら、どうする?
おぉい、お前、暇やったら買い物にいってくれ。
それ、ことわったさ!
後ろめたさと、罪悪感があるのさ。
俺をお前とこに泊めてくれ!
反応が鈍くなったのは、そのイキサツで分るんだ。
なぁ、何の仕事でもするからよ。
うん?
嫌ならいいよ、別にどっかの空いているホテルを捜すからよ。
え、なんでこの人いきなり可愛くなっているの?
うん、もう家の真ん前に来ているんだよ。
あんた、ことわりもなく、もう来てんの?
「なぁ~、助けてくれ。」
俺とて、生死の土壇場だ。
色気の声だって、だすわなぁ!
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お
ね
が
い
だ。(笑い)