だ、だ、誰が、僕に謎を残していくの!
だ、だ、誰が、僕に謎を残していくの!
「だれ、誰か、いるの?」
いるんでしょう、見えたよ、見えたよ。
木の木陰にすっーと消えてしまった。胸がドキドキして飛び上がった。
木の向こうで、髪の毛が揺れて、チラっと女の顔があらわれて、隠れてしまいます。
「やっぱり、いたんだ、よかったら一緒に歌わない、どお?」
君、この歌好きか?
この歌はわたしのよ、もっと聞かせて。
僕は、歌を熱心に弾いていると。
あの子が遠ざかっていく。
どこへ行くの!
「歌が好きと言った。」、森で会ったあの子。
逃げていく姿に、驚きと不信さとを感じて見てました。
こんな森に現れるだろう。森の妖精なの?
考えれば、考えるほど。いろんなことを思い出します。
僕がこの森、いやこの場所に来たのも。
何かに誘われてきたに違いない。あの子は何かを言いたげに去っていった。
宿にもどった、ぼく。
人生を変える一枚の手紙を手にする。
しちゃくちゃになっている紙をのばす。
「森で女の子に出会う」と、記してある。
誰に言っているの?
ブルブルと震える手で、ミヤーは、はやる気持ちを抑えて。
だ、だ、誰が、僕に謎を残していくの!
何なのか、少しも分らない。
あの子は、陽がさしている方向に向かっていった。
夢か幻なのか?
僕の心は、あの子に会いたい思いでいっぱいです。
現実に存在しないかも知れません。
それを追い求めると?
僕の人生の何かが見えてくるに違いない。
これは誰にも言ってません。
母さんにも。
ぼくは、何か大切なものを、追い求め続けなけばならない気がします。